2003年
皐月(さつき)

五月二十五日【日】 二十六日【月】(山口・広島おんな独り旅その一)

 仕事が一段落したので、久しぶりにここ数年やっていなかった川下りでもしようと思い立った。
川下り、そう、アウトドアである。
ゲイにアウトドアって、なんて似合わないんでしょ。

リゾートに泳ぎに行ったって海には入らずにプールしか入らないのに、(海を見ながらプールで泳ぐのが正道)
野蛮にも手漕ぎで川を下るのよ!(笑)

何が楽しくて重い荷物担いで、水しぶき浴びながら川遊びするのかしらと思う方も多いわよね。
うん、今回久しぶりにやってみて、雨にあったこともあって正直ちょっとそう思ったわ。


 今回出かけたのは山口県は錦川。
河口の岩国では錦帯橋(日本三名橋の一つ)がかかっているので有名です。
朝7時ののぞみとこだまを乗り継いで新岩国についたのは8時40分ごろ。
速い!本当に速い!普段の休みの日ならむにゃむにゃ股間をまさぐりながらまだ寝てる時間。

早くついたのはいいんだけど、そこで乗り換える次の列車(錦川清流線という第3セクター)が来るのは1時間後(悲)

まぁ、贅沢は言ってられないわ。列車が通ってるだけありがたく思わなくちゃ。
何しろ背負う荷物は30キロ以上はあるんだもの。
こんな重い荷物背負いながら、我ながら「男」だわぁ〜ってほれぼれしちゃいました(笑)

 

 ←錦川清流線南桑(なぐわ)駅付近


さぁ、出発。
でも生憎の空模様。この後雨に打たれます。(悲惨)
本当なら玉石の上を空中浮遊するような透明度の水も
昨夜の雨で少し濁り気味。
やがて雨が降り出してからは修行僧のようにうなだれて
ただひたすら漕ぐばかり。

「もう、やだ…」  雨もやみそうもないし。
こうして駅が見えたところでリタイヤ。
でも、いいの。これから先は山が開けて景色もイマイチだし、流れもなくなってくるし…。
と、自分に言い聞かせるようにしてカヌーを折り畳む。
そして濡れたままの舟を畳み終わって駅へ向かうころには…、
いつの間にか雨がやんで日が差し始めていた!(どうせあたしは水も滴る雨女よ!)

 
↑錦帯橋                      ↑岩国城(山の上にある)             岩国城天守閣から錦帯橋を望む
予定より早く宿についたので錦帯橋、岩国城と観光に行くことにした。
ここ2年ほどの間、城に行く機会が多いようなのは気のせい?
別に城フェチというわけではないんだけど。
そう、そびえ立つ物は何でも好きだけど!

天然記念物の岩国のしろへび。
アオダイショウのアルビノが固定化されたもの。
名前は忘れたが、とても蛇には似つかわしくないキュートな名前が付いていた。








二十六日【月】(山口・広島おんな独り旅その二)

翌日もなんだか雨模様。
荷物を宅急便で送って、尾道・福山に向かいました。
西条で途中下車。
広島から東へ30分くらい行ったところ。
”広島の酒”とよく聞くのはこの西条で作られていたのだ。
駅からすぐの所に酒蔵の町並みが続く。


















尾道は坂の町郵便配達の兄ちゃんが歩いて配っていました。
階段ばかりなので車は入れないから、ごみの回収とか大変らしい。
足の骨とか折ったら家に帰れないのよん。




福山市郊外にある鞆の浦。
古くから潮待ちの港として栄えていたらしい。
今でも江戸時代の港湾施設や町並みが残っている。
なんやら世界遺産に登録しようという動きもあるらしい。
裏通りの天ぷら(練り物)屋さんで天ぷらを買ったら、
味見用の天ぷらを全部おまけに付けてくれた。
天ぷらは2倍の量になり、次の日から毎食天ぷらを頂くことになった。
バス停の前で食べた食堂の定食がうまくて安かった。
港で取れたものを刺身や煮付けや酢の物にした物がいっぱい。
鞆の町並み
福山城

新幹線の駅からパチリ。








五月十日【土】

 うちの新聞屋さんは、毎月映画の券を2枚ずつくれる。
よく新聞勧誘のときに何ヶ月契約したら一月分タダにするとか、
ビール券や洗剤とかくれたりするが、(違法らしいが…)
あたしの場合、毎月映画の券くれたら浮気しないでずっととるということで商談が成立したのだ。
以来、映画館は選べないが毎月映画を見に行かせてもらっている。
中にはつまらぬ映画の時もあるが新聞代の半分は元を取ってると思うと許せてしまう。(笑)

 昨日は「シカゴ」を見に行った。
今回の券は「ロード・オブ・ザ・リング」と選べたからかなりお得な券。
「シカゴ」はあたしにとって曰く付きのものだったので、少し迷ったが、
かなり楽しめた。
曰く付きというのは、あまりいい印象がなかったからなのだ。
もう4,5年になると思うが、「ウィーンを巡る音楽の旅」ってかんじで数人が集まって
旅行したことがあった。
ベートーベンの田園の小径を歩き、各音楽家の墓に詣で、オペラやコンサートを見ようというものだった。
しかし、コンサートの類は向こうで行ってからチケットをとるということだったので
残念ながらオペラは取れず、代わりにミュージカルということになった。
それが「シカゴ」。
予定していなかった観劇なのでどんな演目なのか誰も知らない。
英語でもたいがいなのにしかもそれはドイツ語。
あらすじの「あ」の字もわからない。
古くて美しい劇場を見ただけでも価値はあるといえばあるが、
結局一緒に行ったほとんどの人は半分寝てたと思う。
今回映画を観て、そういえば最初に女が男を拳銃で撃ってたなとか、
監獄のシーンがあったなとか、いろいろ思い出してきた。
もともとこういうセクシー系の歌やダンスは好きな方なので、(そんなまとめ方でいいのか不明…(笑))
この映画の後で見に行ってたらかなり楽しめたのではと今更ながら残念に思う。

「シカゴ」、あたしにとっては初めてのミュージカル体験だった。

五月四日【日】

  兵庫県立美術館に行って来た。
美術館になんて行くのはほんとに久しぶりのこと。
現代日本を代表する建築家、安藤忠雄設計になる美しい建物と
神戸オリエンタルホテルがやっているおしゃれでちょっとうまそうなレストランがあるというので
行く気になった。
それに以前テレビで小磯良平の特集をたまたま見ていて、知った絵があるというのも心強かった。

 ゴールデンウィークの中日だけあって、駅のターミナルは人でごった返していた。
さすがのUSJも入場制限中ですという案内や、本日の阪神戦の当日券は売り切れですという案内が飛び交っていた。
幸い、美術館は子供のいるファミリー関係には無縁なところなので人が少なかったのはありがたかった。
ついてすぐに腹が減ったというのでレストランに。
公立の施設にあるレストランとしてはきれいでステキなもの。
さすがは商売上手な神戸だわ。
大阪も見習えばいいのに…
海沿いだが前は運河のようになっており倉庫群が並んでいて海は直接見えない。
しかし他の所にない解放感があるのはなぜだろう…。
と、「空が見えるからだ」と一緒に行ったぼっちゃまが言った。
京都はどこにいても山が見えるし、大阪はビルばかりだ。
なるほど。本人も自分の言葉に感心している。
海辺の街には空がある。うん、覚えておこう。(笑)





シンプルながらも美しいフォルムの建物はそこにいるだけで気持ちよくさせてくれます。
でも、何処かで見た感じだなと思っていたら、安藤氏の設計の淡路ウェスティンホテルのある淡路夢舞台にも
おなじようなものがある。。



美術館の展示物はそんなに多くなく、あたしにはそれがちょうどよかった。
美術館見るのって案外疲れるでしょ?
あまり多いと同じような作品がでてきたら、「もうええって!」って腹たってきちゃったりする。(笑)
展示室の最後は神戸生まれの画家小磯良平や金山平三の展示室。
知った絵があると安心感と満足感があっていいわね。




主な絵には解説入りのパンフ(無料)が
置いてあるのは嬉しいですね。


その後三宮を少しぶらつきましたが、あまりの人出に圧倒されてあえなく大阪に撤退(笑)
帰りの電車は阪神戦甲子園帰りの人たちにバッティング。
座ってたのでよかったけど、「甲子園って飲酒禁止やったっけ?」となにげに話してたら
それを聞きつけた前のおっちゃんが「そんなことしたら誰も応援に行くかいな!
今日の水分補給はみなビールや」と話しに乱入。
聞くところによると今調子のいい阪神の応援の為だけにわざわざ東京から帰ってきたとのこと。
2時の試合に朝の9時から並んだこと。球場は5万3千人の入場があって、
入場券や場内の売店の売り上げ等も含めて今日だけで2億は売り上げがあるはずなこと、
阪神電車も数千万稼いでるはずなこと等いろんなことを熱く語ってくれました。
静かな美術館帰りに阪神ファンの熱気にあてられたあたしたちは
あえて夕食は大阪駅周辺をさけて庶民なパワーのあふれる街、天満に向かいました。
うまい焼き鳥屋にたどり着いたあたしたちは満腹となり幸せで有意義な一日を過ごしましたとさ。